夕暮れの光景の彼方から/
前田ふむふむ
もっとも、適切な姿勢を保って。
目線を、遠く後方にやれば、
遅れている流線型の麓が、夕暮れを芳しく、
焚きこむあたりに、
わたしの笑顔が、上を向いていた頃、
もえる眼差しが純度を高めていた、
木箱のような東京の高層ビルの灯りが、
夢のように見える。
やや、木々は赤みを帯びてきている。
時間を巻き込みながら、
胸を突く衝動に駆られて、――
かなしみが口から溢れてくる。
「君は、まだですか。」
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