赤い校舎にさよならと/亜樹
完全な中庸などないと知った日に
校舎の壁は夕日に照らされ
赤々と美しかった
あの日
誰かが言った
「さよなら」に
返事をしてしまった
僕がきっと馬鹿だったのだ
泥に被らないように歩けるほどに
賢いわけでもなく
泥を被っても気にしないほど
阿呆にもなれない僕は
あの日顔に被った泥を
今でもずっと拭い続けている
真っ赤な校舎は美しすぎて
なんだか拒絶されたような気がした
僕の言った「さよなら」に
返事をしてくれたのは誰だったろう
校舎は多分
今でも赤く
きっと誰かが
別れを告げてる
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