言葉を紡ぐという事/狩心
 
ずつ音楽になっていく
風が速度を増し
音のテンポも速くなる
音速が光速になった時
風が蚕の糸のようになり
白く硬い骨組みに肉が付き始める
生命の歓喜で赤く躍動した血管と
何かの使命を持った力強い筋肉と
それを保護する為の脂肪と皮膚と
新しく構成されて現れた顔は
燃焼される前の顔とは
まったく別のものである
そして新たな表情を見せる
泣いたり、笑ったり、怒ったり、
目の視線、言葉を紡ぎ始める
比較的迷いのない
しかし確実に迷いを秘めた
一人の人間という名の実存
何にも例えようがない
あなただけの歴史を
今、必要な世界を導き出す為に

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