日が昇る前の、一日の始まり/狩心
思うが
その騒がしさがなくなってしまったら
寂しくなるだろう
歩くたびにミシミシ音を立てる床
湿気を吸い込み腐敗も進んでいる
今にも抜け落ちてしまいそうだが
その危機感が私を辛うじて生命に近付ける
いつ死んでもおかしくないのだ
死んだ時に笑うのは
私のことを嫌う奴らか
私自身だろう
時計の針が止まった部屋と
止められないほど速い速度で時を刻む部屋
そこを交互に行き来する
そのリズムと窓の外の風景が
同じ速度で重なった時
暗い部屋が段々と明るくなる
朝日が昇るのを合図として
玄関へと向かう
もう履かなくなった古い靴と
最近よく履く流行の靴
私は迷わず古い方の
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