現実への所感/雨宮 之人
 
もうじき全てが終わるから
夢はそう僕に告げる
それでその両腕に
僕のことを引き止めようとして
魂が、それを振り切って目覚める

いつも思う
現実は
始まりだけは
いつも優しい
それは時に
窓から差す朝日

もうじき全てが終わるから
夢から覚めた僕が呟く
言葉の手触りが、昨日と変わっていることに気が付く

遠く、遠いところから声がする
それは生まれ変わった魂を導く声
第何世代だったか、今度は
犬みたいだな
首輪と鎖に繋がれて
違うような、同じような道を
歩いている
そうして、遠くまで来た気になるんだ

忘れてはいないよ
身体も、心も、一つきりなんだ
わかっているさ
ここにしか、僕の現実はないって

光よ
もっといろんな方角から照らせ
それだけを僕は求める
生きていくために、死と、同時に、再生を
だって、ほら、
もうじき、全てが、終わるから
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