飛行船/みちる
 

頭の上を とんでいく月
わたしは 乗りたい
どこまでもさらってほしい

見下ろす街の その果てに
広がる海の波音などを
この耳にやきつけながら

わたしを焦がす
酷い痛みを
声を
かき消すように

青色に浸されたこの手のひらで
白い竜の背中をなでる
わたしは 白く染まれずに

飛び降りたあとは
夜に覚める

青色にすらなれないわたし、手のひら
空をきる感触をおぼえたまま

こんなにも哀しいのなら
わたしはどこまでも
飛んでいきたい
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