呼吸狂/A道化
敷布団への埋没から
起き上がり損ねた体に
小さく開いた口腔、にて
夏って発音が粘つく
天井あたりの酸素眺めながら
吸気は低位置で間に合わせてしまうの
天井に届かない呼気がまた
低位置で淀んで暑苦しいの
それでも
臓器の気候、特に
呼吸器官に生まれた個人的な気候で
わたし、呼吸を反芻してしまう
ねえこの夏は、この夏は治るの、と
放ったはずの言葉も
口腔にていったん粘ついて
単なる呼吸になって息苦しいの
それでも
臓器の気候、特に
呼吸器官に生まれた個人的な気候で
わたし、わたし、呼吸を反芻してしまう
2004.5.30
戻る 編 削 Point(4)