桜の午後/蒼木りん
 
好く晴れていた


葉桜の樹の下に立って

枝の間

日が差すところと

影が差すところ

その

光と影の中を

名残の桜の花びらが

ひらり ひらり

舞い落ちてくる

絶え間ない

絶えてしまったら

こんなにも見惚れないだろう


そうだ

あの女(ひと)は

きっと

こんな感じなんだ


だから

あの人(おとこ)は

あの女(ひと)の傍から

離れられないんだ


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