梅雨空に/狸亭
1
はがき一葉
舞いこみ、大要、
「言語障害が発症しているようです。発作もなく、突然電話中に失言症になり、思う通り表現できなくなりました。脳血管障害なら軽い症状で、希望が持てますが、アルツハイマーだと大変です。連休明けに(脳ドック)に行くつもりですが下手をすると今が明瞭な意識の最後かも知らないので、長年の友情に感謝したいと思います。もし回復したら小説にしたい新体験です。元気でまた会えることを祈りつつ。」と。
明瞭に捺された丸い消印に
逗子12・5・6・8・12
全マスコミが同じ報道ばかり
展開した昭和の終り
あの下血騒ぎに明け暮れた日々。
小柄ながらも逞しい体
[次のページ]
戻る 編 削 Point(16)