晩夏の指先に/たりぽん(大理 奔)
 

息をひそめて
(葉も揺らさぬように)
焚き火が揺れる

煙の中でも煙草を吸う君は
跡形もない言葉のままで
髪先を星座に投げる

傷跡だけを残すために
遠くの峰でわき上がる
季節の終わりの雲よ!

ああ、いますぐ
晩夏の爪になれ
私よ




戻る   Point(8)