ZUZUさん『鳥人間コンテスト』を読む/楢山孝介
 

 ヒトラーの「わが闘争」を
 いつもポケットに入れていた
 まるでサリンジャーの小説の
 脇役のようなH君から
 十二年ぶりに電話がきたのは
 二年まえのことだった

 何気ない日常生活を過ごしている折りにふと思い浮んでくる一編の詩がある。初めて読んだ時には「お、いいな」程度の軽い印象だったものでも、その後自分の中でどんどん大きな存在になっていく一編がある。どうしようもなく好きになってしまった一編がある。そういった詩について書こうと思う。個人的に、感傷的に、やや気持ち悪いくらいに思い入れたっぷりに。

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 十二年前H君は中国人の留学生にふられて
 二浪して入
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