断片/ピクルス
「並んだテールランプ
漁り火のよう
空はくれてやる」
「地味な色の饅頭は
もういいや
飴を噛んで夜を待つ」
「諦めの早い男
高望みする女
手を離せば知らない人
滑稽なまま暮れてゆく」
「通い慣れた道のはずだった
落陽に見惚れて
未だ病院に着かない」
「柵だと思うから越えたくなる
網には数限り無い世界が
可能性を主張してる」
「黄昏は秘密を歌う
未練も絶望もある
明日呑む酒だけがない」
「金網の彼方と此方で行き交う
ウェルシュコーギーの荒い息遣い」
「窓の数だけ
朝のカーテンが翻る
水面は新しい
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