亡霊/路守 緒世留
きっと誰も私を捕まえられはしない
そう いつの日か天弓の向こうへだって
後ろで誰かが呼んでいる
さっき足を引っかけてしまった男だろうか
すれ違いざまに肩をぶつけた女だろうか
ごめんなさい許して
私はきっとあなたたちから平穏を奪ってしまったけど
あなたたちの平穏を使う場所なんて無いわ
私は亡霊
あの空に魅入られてしまった
とても哀れで滑稽な亡霊
この地上の事なんて考えている暇は無いの
ああ もう何も聞こえないわ
私は今息をしているのだろうか
走っているのに足音が聞こえない
私は亡霊
あの空に魅入られてしまった
とても惨めで滑稽な亡霊
この地上の事なんて考えている暇は無いの
戻る 編 削 Point(2)