亡霊/路守 緒世留
 
きっと誰も私を捕まえられはしない
そう いつの日か天弓の向こうへだって

後ろで誰かが呼んでいる
さっき足を引っかけてしまった男だろうか
すれ違いざまに肩をぶつけた女だろうか

ごめんなさい許して
私はきっとあなたたちから平穏を奪ってしまったけど
あなたたちの平穏を使う場所なんて無いわ

私は亡霊
あの空に魅入られてしまった
とても哀れで滑稽な亡霊
この地上の事なんて考えている暇は無いの

ああ もう何も聞こえないわ
私は今息をしているのだろうか
走っているのに足音が聞こえない

私は亡霊
あの空に魅入られてしまった
とても惨めで滑稽な亡霊
この地上の事なんて考えている暇は無いの
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