狐面/明楽
鞍馬に行ったときに
欲しくてしかたなかった狐面を買った
祭では私の後頭部から祭を見ていた
私が見ているものの
後ろにあるものを見ていた狐面
私の後ろにいる人に
話しかけていた狐面
頭をくっつけているけれど
何も教えてくれはしない
そして 狐面がいなかったら
私の後ろにも
世界があると言う事を忘れていた
世界は目の前だけじゃなく
私の前にも後ろにも
縦横無尽に広がってるんだ
私が見ているのは
ごく限られた範囲の世界なのだろう
ふりかえれば
どれだけ新しいものが見えるんだろう
私の後ろ側
祭が終われば私は
何を見るようになるだろう
1999
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