失意(望郷)/※
艦を降りた
降りてから数週間が経って、僕は何も変わらない
ホッと出来た反面、逃げ出したかのような
背中の角度が、そんな居心地の悪さを証明している
不必要なほどに、窮屈に歪んだ作業服の皺
綺麗にアイロンをかければかけるほど
繊維の滑らかな照りが、鏡に見えて仕方が無い
降りた直後には、補充部
一週間後、会計科に配属された
これから先、僕は
ここで一体、何がしたいんだろう
鬱状態から来る無口は、後遺症として残ったらしい
只でさえ、人との接触を避けていたのだから
かけてくれる、皆の笑顔が良く解らなくて
気が付けば、無意識に人の目を覗く癖を憶えた
若い女性事務官は敏
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