秋の海辺/小川 葉
 
太陽の抜殻が
うすく影をのばし
速度を落としていく

過ぎゆくものはみな
風の一部となり
思いとともに
彼方へとはこばれた

恋人がいま
海のまんなかで
夏の手紙を書いている

意味を失った言葉が
音だとしても
少女は海辺で
波を待ち続けた
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