宇宙人/明楽
 
二つの小さなビンに詰められた
ピンクと水色の奇妙な物体
人のような形をしているけれど
腕とか 足とか すごく曖昧で
でも
体全体から意思を発しているような
とても奇妙な二つの物体

「宇宙人やし、夜になったら動くで」
露店商の兄さんはそう言った
その言葉と
曖昧だけど
何かを求めているような姿に
奇妙な物体を宇宙人だと納得して
私の部屋に連れ込んだ

今二人は別々のビンに閉じ込められている
その小さな体から発しているのは
透明な壁の向こうに見える同胞への
焦がれる想いなのかもしれない

そして
その想いがいつの日か
ガラスを打ち砕くのかもしれない
私はその日が来る事を
待ち焦がれている





1999


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