僕としてあるためだけの黒いうた/箱犬
 
久しぶりに人魚の歌が聞こえましたよ

ああ

ため息は深い泡の断続となってしまって




歌う人魚の口の中は真っ黒でしたよ

ええ

ふかふかと揺らめき上がるのです青い視線



水平線上に浮かぼうとした雲をちぎって

どこかにあるだろう黄色い空を見つけ出して

漂うはずだった造船場の木っ端片たちを

見えない船にみたてて組み立てて 大航海に飛び出していこうか



どこか みえない とびら きえない

こたえ できない まどは とどかない

あなた しらない かぜは きえない

ぼくは できない うたは とどかない




ぼくが僕としてあるためだけの黒いうた

・・・

ぼくが僕としてあるためだけの黒いうた


(好きなところだけ リフレイン)
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