雨/
刑部憲暁
空が生クリームをあわだてたようだから
もうすぐ雨がおちてくるころ
ぼくの足もとは
草原の小径にかわり
土のにおいが 近づいてきた
傘をひらくと傘のなかに
しずかな足音がひびいた
歩いているひとがいる
やさしいじじつ
この雨は すぐに
長雨にかわる
ゆっくりと長くのびた雨粒が
いつまでもここに
おちてこない
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