かたわらに魚のかなしみ/yo-yo
 
水になろうとするように
魚が魚のかたちで泳いでいる
そんな潮溜まりでは
生きものの群れがまばゆいという


空を仰ぐひとは
吐息ほどの
祈りの水を浮力にかえようとする
浮いては沈む
ひとの群れはかなしい


きのうときょう
きょうとあした
小さな息継ぎをしながら
たどたどと浮力を失ってゆく
ひとの手は
水の深さにも届かなくて


かたわらで
泣くひとの涙は
水の色をしているが
魚のかなしみを知ることもできない
涙も
海の一部だから


ゆうがた
満ちてくる潮に飛び跳ねる
生きものの群れがまばゆいという
ひとの呟きは
ひとの眠りは
かなしい




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