『理科室』/東雲 李葉
 
スポイトで吸った液をガラスに乗せ、顕微鏡で覗いた神秘の世界。
銀河の始まりもこんなに小さなものだったのだろうか。
サボテンの刺、蜘蛛の脚。命は先端にまで満ちていて。
髪の毛の先や爪の先まで欠けることなく生きている。


螺旋を巻くと機械の羽がはばたきだす。
剥き出しの鳥は軋んだ喉で歌い続ける。
虚しさから神様は自分で動ける僕らを作った。
寂しさから人は惑星から溢れるほどに物を作った。
繰り返し営まれる満たされることの無い連鎖。
僕らに作られた物達は今度は何を生み出すだろう。


時には誰かの命でさえ研究室のフラスコの中。
ゆらゆら揺れる赤、青、緑
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