あたらしいもの/
小川 葉
階段をのぼる足音の
海をさかのぼる
波音が今
わたしの深い
大陸棚に
ぶつかる音がして
なにも見つからない
ちいさく
広がるだけの星が
こぼれる秋
虫の声が燃えている
理由にわたし
そっと耳をそばだてて
過ぎたばかりの時をおもう
列車の夜
残響そして
窓の外
川が消えている
忘れるだろう
鳥はみずからの声を
壁の向こう側で
階段とまちがえて
せまくのびる
朝焼けのなかで
生まれては染まる
色のように
あたらしいものに
変わっていく
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