あなのそこ/アンテ
 
って
からだがくさってちぎれおちたあとも
あたまだけがのこって
ほかのものにまぎれているひとは
あんがいたくさんいるのかもしれない
また あたまになにかがぶつかって
くぁぁん とおとがする
いたみはぜんぜんかんじない
ぶつかったものはいとからはずれて
じめんをころころころころころがって
あなにおちて
ふかいふかいそこでおとをたてる
あなはたくさんたくさんあいている
わっかになったいとがいくつもいくつもたれさがっている
くぁぁぁん
またおとがする
いたみはぜんぜんぜんぜんかんじない
ひょっとしたら
ぶつかったひょうしにころがりおちたのは
わたしのあたまなのかもしれない
じめんをころころころころころころころがって
またあなにおちる
てをのばしてもてをのばしてもとどかない
ふかいふかいふかいそこからこえがかえってくる



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