あなのそこ/アンテ
って
からだがくさってちぎれおちたあとも
あたまだけがのこって
ほかのものにまぎれているひとは
あんがいたくさんいるのかもしれない
また あたまになにかがぶつかって
くぁぁん とおとがする
いたみはぜんぜんかんじない
ぶつかったものはいとからはずれて
じめんをころころころころころがって
あなにおちて
ふかいふかいそこでおとをたてる
あなはたくさんたくさんあいている
わっかになったいとがいくつもいくつもたれさがっている
くぁぁぁん
またおとがする
いたみはぜんぜんぜんぜんかんじない
ひょっとしたら
ぶつかったひょうしにころがりおちたのは
わたしのあたまなのかもしれない
じめんをころころころころころころころがって
またあなにおちる
てをのばしてもてをのばしてもとどかない
ふかいふかいふかいそこからこえがかえってくる
戻る 編 削 Point(9)