壁/明楽
 
ますます狭い部屋に
閉じ篭もってゆくわたしを
あなたは窓の外からチラリと覗いて
さも知った風に
典型的な自閉症だね
なんて言うから
わたし おかしくて
おかしくて
うつむいて肩を震わせながら
必死に笑いを押し殺していた

それなのにあなたは
泣くなよ 頑張れよ
そしたらすぐに治るよ
なんて 言うから
ますますおかしくて
おかしくて おかしくて
笑いが堪え切れないほどになって
耳の奥できーんて音が突き抜けてって
とうとう わたし
わたし
手榴弾が爆発したみたいに
身体全体 弾けて笑い出しちゃった

その拍子に鳩尾の辺りから
黒い何かが飛び出して

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