Q/水町綜助
 
 Quartz
 震えて
 終わりと
 始まりのないものを
 区切っていく
 切り刻んで
 数をあてる
 なにものとも
 名づけられない筈の
 私より薄くて
 鉄も
 昼夜をも含むもの


   *


 眩しかったので
 目を細めました
 ある明るい夕方に
 夏の中でした
 玄関口に座って
 日が暮れるほどに
 軒先の電燈が
 赤みを増してゆくのを
 ぼんやりと見ていました
 つるしたあかりに
 照らされた庇(ひさし)の
 外に広がる夕空が
 やけに青くって

 椿の生け垣を透かして
 靴音が聞こえてきます
 革の靴底の音で
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