名匠/tonpekep
 
夏を組み立てていく
プラモデルのような朝のひかりを
丁寧に地上に接着してゆく

おじさんの他は
みんな寝坊をしている
夏は
すこしづつ組み立てられてゆく

おじさんが
こつこつと夏休みを
構築しているのだ

夏の骨組みを
おじさんが
組み立てていることを
みんなは知らない

流れる川の裏側に
葉の裏側に
雨上がりの雲の後ろに

おじさんの名前が
彫りつけられていることを
みんなは知らない

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