メロディールーション/チグトセ
あるメロディーを聴いた
けたたましい騒音の中から
あるメロディーを聴いた
さかまく日々の雑音の中から
街に集まった人びとは
メロディーに合わせて歌を歌った
どんなに綺麗な旋律よりも切なく波打って
音の鎖は伸びていく
この世に愛はあるが
愛想はない
知らなきゃいけない「現実」なら
全部A4のコピー用紙に書いてある
それがこの歌の歌詞である
黄緑色の田園地帯にも
朱茶色のコンクリートジャングルにも
ダンボール層の地下通路にも
コンビニの迷宮扉にも
パン屋の厨房にも
深夜の工事現場にも
焦げ茶色の液晶画面にも
浸透する歌声が
震えて
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