/一ノ瀬凛
 



暑苦しい部屋の中で

ぼくはひとり

蓋を開けたばかりのコーラの

二酸化炭素の泡のように

空気中に溶けてしまいたい



みんみんみん

だれかがないてる

みんみんみんみん

きみもひとり


暑苦しい中で

今は寂しげに誇らしげにないているけれど

ぼくが夢から覚めるころ

きみもどこかで

その命を儚く散らしているのだろう


みんみんみん

なきごえが遠くなる

みんみんみんみん

そうか仲間を見つけたんだね


帰るなら今のうち

心残りのないように体の芯から振るわせて

ぼくの部屋の窓際の風鈴が

ちりん とひとつないたら

もう覚めてしまうから


みんみんみんみん

激しく高ぶる感情が引いていく

鮮やかな瞬間たちは蜃気楼

夏夜の夢たちがフラッシュバック

そしてそして

ちりん とひとつ

ぬるいコーラが飛び散った



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