あさがけ/水町綜助
 
深夜
三時半過ぎ
とじた商店前の
歩道にはパンの固まりが落ちて
蟻が数え切れない
ボヤけた視線を落とせば
地面が動いているよう
川のように
列をなして
五つ
うねって
さまざまに
伸びていく
先に
巣があったとして
もうすぐ朝がくる
どこもかしこも
暑く照らされる
巣の中は涼しいか
ぼくはジュース
をのむ

*

松葉杖を使わないで

真横を
二つ、
両手に、まとめて抱えて
はたちくらいのおんなの子が歩いていく
おぼつかない、内股の角度が
なんだか鳥のようだ
街路灯に白くあたまを照らされながら
歩いて
駅まで行って
戻って

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