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ワタナベ
も、ずっと長い物語がそこここに隠れている
それは暴風雨の中を行く一艘の帆船の話かもしれないし
朝の静謐な空気のなかから香る真新しいシャツの香りだったりするかもしれない
毎週金曜日の夜は小林さんのピアノを聴きにいくことにしている
その音階の隙間にも小林さんの物語はひそんでいるのだろうか
静かな調べがぼくの心を揺らし
高い音階がぼくの耳の奥で踊る
ぼくはぼくの物語を読むために
小林さんのピアノを聴きにいく
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