おはよう/小川 葉
 
未来のように
なつかしい
時間を持たない
風景があった

潮の匂いがする方へ
無言のまま
花びらを一枚一枚
千切っては捨てる
日々が続いた

家族が家族である
理由はあったはずなのに
海の魚たちは
あまりにも無作為に
網にかかりすぎた

認知症の鶏が
今朝はじめて
おはようの意味を
理解した
戻る   Point(3)