おはよう/
小川 葉
未来のように
なつかしい
時間を持たない
風景があった
潮の匂いがする方へ
無言のまま
花びらを一枚一枚
千切っては捨てる
日々が続いた
家族が家族である
理由はあったはずなのに
海の魚たちは
あまりにも無作為に
網にかかりすぎた
認知症の鶏が
今朝はじめて
おはようの意味を
理解した
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