徒歩旅行/なを
ここはまるで火星みたい
しずかでひろくていい天気ですよ
あなたがわたしに仕事をくださったのでわたしはあなたになまえをさしあげて、そうしてふたりして手をつないで、ソトへ 行きました。ほとんどのお話しは疾うに終わってしまっていましたが、わたしたちはへいきで砂まみれで空っぽのバス通り を走ってゆきました。かつて唄いつくされたうた、唄われなかったことのなかったうた、をひとつずつ唄いながら走ってゆ きました。バス通りは晴れた空のしたで永遠のように長く、どこまでもつづくようでした。(うそ、永遠とかって、ありま せんよ)ソトへ。と、わたしたちはつよく望みました。ソトへ。歩いてゆけるところへならどこへ
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