落ちない太陽から、逃げる/水町綜助
 
また、
また遡行していく

太陽が落ちない
360度の
上空を
周り続けていたような毎日
そんなころ
僕たちは
向日葵で
飽きもせず
追った

めくるめく
夏の息づかい
あらく
水蒸気を含んだ
西日の中の熱風
そのうずまきの中に
蝉の七年とか
コガネムシの羽とかを
瑠璃色にまきこんで
すりつぶすから
僕たちは吸い込んでいく
そんなふうにして
あまい季節を


やあ

久しぶり
あの店
もう無くなったんだってさ
ポカンと口を開けてしまうくらい
のう天気な名前のあの店
交差点の角の
おまえの部屋の
ちかくの
でも夏、おまえと行
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