遡る/ゆるこ
 
広告のチラシに空白を作って
自分の世界を広げていたころ
遥かに遠い場所で
狂っていた気がする
 
夏休み
朝顔
日記帳
 
全て投げ出して
風鈴を眺めてた
ちりんちりんと
感覚を麻痺させて
 
 
広告の裏側は真っ青で
海だか絶望だか分からないように
クレパスで塗り潰されていた
 
なんの個性もないんだってさ
なんの個性も、ないんだってさ
 
 
風鈴が鳴るのを止めた日
私も風鈴と同じ箱の中に入ろうとした
 
そうして閉じ込めてしまえば
あとはなにも動かなくていいから
 
 
 
私はきっとなりたかった
 
(海に、絶望の青に、風鈴に、クレパスに、広告に、)
 
 
 
 
なんとなく生きてたら
いつしか難しい年頃になってしまった
あの頃は、なんて
年よりくさい言葉覚えながら
 
 
 
望むものは、今も同じ。
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