「熱帯夜」/ソティロ
続ける
恐ろしくて止まることは出来ない
やがて直線は終わる
ゆるやかなカーブが始まって
でも体を傾けることはしない
ブレーキに親指以外の四本をかけることもなく
クラッシュして
そのままのスピードで
放り出されてしまう
遠くへ
バイクは原型がわからないくらいに
曲がったり
砕けたりして
そのとき
そいつは夜を越えることが出来たんだろうか
とりとめのない考えを止められずに
寝苦しい夜は続く
人間は夜に溶けることが出来ない
夜の重さを確かめながら
ただ、じっと眠りが訪れるのを待った
遠くで救急車のサイレンが聞こえる
徐々に近づいて、音程を下げながら
通り過ぎて、消えた
戻る 編 削 Point(7)