「熱帯夜」/ソティロ
 
れば
みし と かさ
の中間の音を発して砕けただろう
夏の暑さは
今日あたりがピークだったのかもしれない
でももう体力はだいぶ奪われているので
残暑の方が余程辛く思える


蝉の死骸を見た時に、ふと
蝉が地中で七年過ごし
地上に出て七日で死ぬ
という話を思い出した
同時に一週間の生を終えて
艶もなく
所々砕けた透明の羽根を持つ
蝉の死骸を
可哀相だ
と思った
論理や倫理でなく
直観で同情したのだった
しかしよくよく考えると
それはこちらから
見ているからそう思ったのであって
ほんとうは
ちっとも可哀相なことではないのかもしれない
と思った
きっ
[次のページ]
戻る   Point(7)