56P 「短歌2」より/
むさこ
声高に客呼ぶ声に客は無く
山の如くに蟹を売る店
降りそうな空を支へて木蓮は
仁和寺の庭に煙るごと咲く
尼寺はどうだんつうじに囲まれて
静かな一角春陽をまとふ
雑踏はめっきり夏の色となり
眞昼を知らす時報聞ゆる
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