追悼/たにがわR
まだ覚えている
あと少し、もう少しだけ
君に近づけたら
こうやって君を消してしまうこと、は、な、か、っ、た、のに
愛の骨格が憎しみの概要となり
骨とかわった君は、声も出さずに
私の躯の一部となる
君がいない
君がいない次元の中で
一つの物語は始まり
そして二つ目の恋が終わる
三つ目の愛を自分自身に渡して
君がいないということは
愛すべきものがないこと
だけど、それもただ一つの趣味
私の嗜好の一つ
君がいない世界は、とても素敵で
夜、眠る前に君のことを考えることも素敵で
目覚めたときに君がいないと再確認するのも素敵だ
君がいない食卓
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