花になれなかった種たち/ぽえむ君
その種たちは
花を咲かせることができなかった
人間だけでなく
他の生き物の目に留まることなく
存在すら知られずに
消滅するしか道はなかった
生まれた時は
生きていこうとする意志と
花を開かせる夢に満ち溢れていた
しかし
土を探せなかった
文明の流れにその身を潰された
それでも
その種たちは諦めなかった
諦めようとはしなかった
本能を頼りに
命のある限り
土を追い求めた
やがて
その種たちの終わりがやってきた
種たちは何も言えなくなった
ついに種たちは風になり
風を咲かせるようになった
戻る 編 削 Point(2)