夜行列車/明楽
ガタンゴトン ガタンゴトン
少し湿った 夜の闇を身にまとい
姿を隠した列車が
一等星の星屑で出来た
青い銀のレールの上を走ってく
窓から外をのぞくと
夜露がきらきら輝いている
うすいミルク色の座席に座って
夢に見るのは 遠い日の記憶
懐かしい 甘酸っぱい香りのする日々
その心地よさに うっとりしながら
列車のゆれに身を任せ 少しまどろむ
切符は胸に抱えた小さな傷
忘れてしまいたい 悲しい過去
列車を降りる時に 手放してゆく
ガタンゴトン ガタンゴトン
闇に紛れて列車が来る
あなたの悲しい記憶を迎えに
夜行列車がやってくる
1998
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