心象/麻生瑞乃
 
君のところへ 行く道すがら

雨が降ったのか、夜道は濡れて
デラデラ黒光りしているよ

ここは 冷たいアスファルトの道

吐く息も白く、
蛍光の電灯に照らされて
冷たい 静寂が浮かび上がってるよ

まっすぐな道。

「私は夜道の運び屋です」

君のところへ何を届けに
真心 届けに

薄氷を踏むような思いで
思い出 持ち寄って

今から君に 会いに行くよ、



ピンポーン・・・・・、、、
私が来ましたよ。

君の全体は、うすい うすい
氷のヴェールで 覆われている んですね、
近づいていってもいいですか?
決して触らないから、絶対に、割ったりないからね。

君を覆う うすい うすい氷の膜は
濡れたように 汗をかいていて、


うん、笑えない おもしろさ、
君と笑わずに 軽く握手したよ。

今夜、君は指先から神経がとび出しているように見えるから、



絶対に触らないよ。

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