あきらめたくない/馬野ミキ
あきらめたくない
一つもあきらめたくない
かかとと影を伸ばしてぜんぶ欲しい
二兎追うものは一兎も得ずというのはセコい
可能性という言葉が持つダイナミックさに欠ける
俺は千兎も万兎も追って、せめて四百八十兎は得たい
そう、考えている。
丈夫な体をもち東で、
一つもあきらめなければ花も月も話しかけてくるだろう
そういうことを他人に話しても電波と言われない為には
日々の真ん中でもっと1つも あきらめてはいけない
絶対的にたった一つもあきらめてはいけない
俺は一つも、あきらめたくない
人は制限のなかで生きる
己が作った制限のなかで
鏡とは偽りである
ただの磨いた石にすぎ
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