空の箱/
田代深子
足から入り腕を出すと
ダンボールのほかは空ばかりで
おれは首のばし
下をのぞきこんでも
からり晴れわたり風鳴る底なしの
しまった
あれも連れてくればよかったと
ポケットの小瓶をあおるが
ああ携帯もないし
ダンボールは揺れもせず
ただぽかんと口を空け
どこかへとしょんべんを放った
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