レイルウェイ・アウェイ/雨宮 之人
 
ワープする 僕は、空間ごと
この、二時間半の、列車の車内で、線路上で
文字と、音楽と
あるいは夢と、妄想とともに

ああ、ひどく、ひどく沢山の人がいるのだなぁと
わけもなく 是非もなく
僕はそんなことを考える
この、二時間半の、共有空間内で

彼らには、それぞれの物語が宿っていて
それぞれの時代が宿っていて(僕もそうだ)
そして僕らは浮遊する魂に、導かれているんだろう

時間を相対化して、
その上で閉じ込めて列車は走る
ここから遠い、遠い場所へと僕たちを乗せて
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