55P 「短歌2」より/むさこ
 

七色をくりやのサッシに散りばめて
夕陽は秋の入日を急ぐ

絵の具にてぬりしか如き文鳥の
若草色の胸毛がふるふ

喧噪の巷を逃れ花野ゆく
嵯峨の小径は露しとどなり

その名もて紫式部と言ふ花の
山荘に咲く秋を清しく

モデルたちは松によりいて写される
秋あたたかき境内のなか
戻る   Point(4)