牛車/小川 葉
 
光が伸びていく方に
魂があるように
牛もまた
どこかへ向かって
伸びていった

お母さん
と呼べば
お墓の中から
鳴き声が聞こえる

膝をかかえたまま
じっとして
夏の一日だけ
待ちわびて

牛車が
とても重いものを
もとの場所へと
運んだのは
きっとそのためだった
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