牛車/
小川 葉
光が伸びていく方に
魂があるように
牛もまた
どこかへ向かって
伸びていった
お母さん
と呼べば
お墓の中から
鳴き声が聞こえる
膝をかかえたまま
じっとして
夏の一日だけ
待ちわびて
牛車が
とても重いものを
もとの場所へと
運んだのは
きっとそのためだった
戻る
編
削
Point
(2)