ゴッホ『刈入れする人』について/ケンディ
 
この絵の中心はどこか? 
絵の面積の大半を占める黄金色の畑だろう。 
生きているように色が塗りたくられている。 
しかしながら、この蠢いているかのような小麦畑の 
力に気づけば、 
そのあと自然と気づくことは、 
山も、空も、太陽も、農夫も、 
実は蠢いているということだ。 
燃えているような、萌えているような。
そういった小麦は農夫に対抗している
ようでもあり(ゴッホは農夫が小麦と
戦っていると見た)、
農夫を愛し抱擁しようとしているようでもある。
小さき農夫はただひたすら小麦を
刈り取るのだが、彼はこの命の波に
つつみ込まれてしまっている。
命の蠢き
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)