「 マグロ退治の午後。 」/PULL.
けものでーす。」
ちっ。あたしは布団の中で舌打ちをする。どこの馬鹿だ。どこの馬鹿の配達員だ。あたしはふて寝をするのだ。もう臨眠態勢なのだ。プロの配達員のくせに、そんなことも分からないのか!。
あたしは理不尽な怒りを罪のない配達員に向けながら、さらに目深く布団を被り、この場合の最も有効的かつ友好的な対処方法。すなわち居留守を決め込むことにした。
だが、敵もまたプロであった。
ピポーンピポーンピポーン、ピポピンポーン。
リズミカルなチャイムを駆使し、巧みな遠隔攻撃を仕掛けてくる。
「おとどけものでーす。」
うるさい!。それはもう聞いた。
「ヒノドリさんからのマグロのおとどけ
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