迎終/山中 烏流
太陽が
触れるほどに膨れて
私の頬の辺りを
じりり、と焦がしている
へばりつく髪の先に
小さく火が灯って
そのまま燃えたいと願う
溶けてしまえたら、と
その日
世界は永遠を迎えた
誰もが無に還ることを
恐ろしく思わなかった
そういえば、最近
良く売れていた本の題名には
陰鬱な印象を持つものが
多かったような
気がする
干上がった海の底で
名前も知らないような魚が
必死に
えら呼吸をしていた
無知を嘆こうとして
やめた
この魚にだって
私の名前が
分かる筈がないのだ
家々の扉は
どこも固く閉ざ
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