千の時の果てに/もこもこわたあめ
「今日○月×日、午前△△時に自動車同士による
事故がありました。この事故で......」
気づくと僕は走っていた
何も考えられないくらい
一心にただ目いっぱいに
別に
何かに急いでるわけでもないのに
何を求めて
何かに追われているわけでもないのに
何に怯えてるのか分からないままに
......いいえ......
時間に追われて
怯えてる
それでも街頭のスピーカーから聞こえる無色素なニュースの声は
寸分の感情をこめることなく事実をただ伝えてくる
なんだか
この時間から逃げたい
この時間が過ぎ去ってくれればいい
......せめて......
悪い夢だったらいいのに
呼吸も苦しく
体も言う事を聞かなくなって
そこではじめて気づいたんだ
千の時を一緒に歩いた
愛しい君を失った涙に
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